甲武信鉱山の鉱物たち
昨夜町田に戻って、今日は午後イヌマキの苗木を受け取り、日のある内に実家の町に蜻蛉帰りすることにしています。午前中、僅かながら自由時間が出来たので、気になっていたことを片付けてしまうことにしました。
自宅作業部屋(一階の和室)の洋タンスなどの断捨離作業をしていた時、5センチ長の細長い石が出てきました(写真の上部中央に置いてある石)。これは間違いなく長野県川上村の甲武信鉱山で採集した方解石です。方解石は珍しいものでは無く、甲武信鉱山をはじめあちこちの鉱山で普通に見つかる鉱物ですが、細長い方解石は珍しいので、なんとなく作業部屋の隅で生息していたものと思われます。
甲武信鉱山は珍しい水晶(日本式双晶、巨大水晶、緑水晶、両極水晶、松茸水晶、針入り水晶)が採れる産地として人気のあるところでした。水晶以外にも色々な鉱物が採集でき、それらの採集品をまとめて一つのブリキ缶に入れて保存したはずです。そのブリキ缶を探し出して、迷子状態で見つかった細長い方解石を収納しようというのが気になっていたことの内容です。
二階クロゼットに押し込んである沢山のお菓子箱の中から記憶にある黄色のブリキ缶を引っ張り出して来ました。この缶は甲武信鉱山の採集鉱物が入っているはずです。蓋を開けてみると、中は仕切りで10の区画に分けられていて、その中に方解石の区画もありました。方解石はマッチ箱をひしゃげたイメージがありますが、それは劈開したもので、お菓子箱にある方解石は自生のままの形でちょっと珍しいものです。今回出てきた細長い方解石はこの珍しい自生方解石と一緒の区画に収まり、一件落着となりました。
ちなみにブリキ缶に収まっていた他の採集鉱物は、砒鉄鉱(葉状)、灰鉄柘榴石、曹柱石、ミニ日本式双晶、灰鉄輝石、鉄へスティング閃石、べスプ石、灰重石。どれも見た目はいまいちです。この石たちはこれからどうなるほか、不安です
(上列中央の仕切りの上にあるのが今回出てきた細長い方解石。その下が方解石の収納区画。)
紫水晶群晶
コロナワクチン注射を打ってから本調子ではない状況が続いていましたが、朝起きると熱があり、耳鳴りが酷く、体温計のピッつという音が聞こえません。今日は手話講習会の特別講義の日で楽しみにしていたのですが、この状態では参加は無理。家にこもって昔懐かしい採集鉱物品を見て一日を過ごします。
作業部屋の棚の一番下にダンボールがあり、そこから紙でぐるぐる巻きになっている大物鉱物を作業台の上に並べました。大体が紫水晶で、紫水晶の小さな頭付きのものが小瓶に入っており、群晶はそのまま箱に入っていました。数センチ超の綺麗な紫水晶は、別の標本箱に収まっているので、この箱には入っていません。
群晶は普通の水晶の場合は採集に行けば1つや2つのガマが見つかり、それをバールとタガネを使って剥がせば比較的容易に群晶が採集出来ました。しかし、紫水晶は産地自体がグッと少なくなり、露頭に水晶脈が見えていたのは日光鉛沢だけで、そのほかの産地(宮城雨塚山、甲府水晶峠)ではズリの中からガマの破片を見つけるような作業となり、私が人生で見つけた紫水晶の群晶は数個しかありません。そう言う意味からはすごく貴重品なんですが、とにかく重い、嵩張る、形が不定形、針状結晶が簡単に折れてしまう厄介ものです。人生断捨離の中でこれをどうするか、考えるだけで熱が上がりそうで、さっさと布団に戻ることにしました
(左端: 宮城雨塚山ズリより。中央:日光鉛沢の水晶脈より、中央下:甲府水晶峠のズリより。)
小来川(おころがわ)鉱山の藍銅鉱
一昨日、木遊びのいつものコーヒータイムの中で、以前ペーパーコードのスツール作りを教わった木遊びメンバーのKさんが、長年通っていた南会津の木工ろくろの教室を辞めたことが話題となりました。その理由は日光を超えて南会津まで車で通うことがきつくなったとのことで、この話を聞いて、私もその昔、細くくねくね曲がった山中の道を鉱物を求めてよく走ったことを思い出しました。
今日は朝から大雨。こんな日は部屋の片付けをしようとクロゼットの中の古い服をハンガー掛けから外すと、その奥に木箱や紙の箱が現れました。これは、私の石の時代の最後の時期に採集した未整理の鉱物が入っている箱です。多分この中に日光付近で採集した「藍銅鉱」が入っているはずです。箱の中の鉱物を一つ一つ出していくと、苔のように岩にくっついている鮮やかの青い石が現れました。これが日光近くの山中にある小来川鉱山の藍銅鉱、採集ラベルには2010年とあります。小来川鉱山は銅鉱で、廃坑になって間が無く、鉱石搬出用のトロッコなどやロープウェイの残骸がありました。それを目印に急な斜面を昇っていくと、ズリに残った銅鉱の2次鉱物の孔雀石やこの藍銅鉱が採集出来ました。
もしかすると2010年頃、日光街道で木工ろくろを習いに行くKさんとすれ違った可能性があります。
奈留島の日本式双晶
会社時代の友人Yさん夫婦から長崎県五島列島に出掛けた時のSNSが届きました。フェリーなどを駆使して隠れキリシタンの教会群を回って、美味いもの探しをして、雄大な風景を巡る、わくわく感のあるミニ旅行記でした。私もいつかは五島列島に行ってみたいとは思っていました。が、結局行かれず仕舞い、ここまで来てしまいました。
私にとっての五島列島は「鉱物採集フィールド・ガイド」に紹介されている日本式双晶が採取出来る夢の島、奈留島でした。福江島からフェリーで渡り、水晶岳と呼ばれる尾根を目指すとそこには鉱物好きの憧れるの日本式双晶が埋まっている地です。
Yさんにこのことを伝えると、何と教会の一つがその奈留島にあって、奈留島もフェリーを使って訪れたとの返信。これにはびっくりしました。というは、鉱物採集フィールド・ガイドの奈留島の項には、日本式双晶の産状紹介の後に、「ただしこの島には鉱物以外に何も無い」と言ったことが書かれていたという記憶があるので、この島は当に日本式双晶のための島、まさか隠れキリシタンの教会の地だったとは想像すらできませんでした。
今回久しぶりに鉱物採集フィールド・ガイドの奈留島の頁を見ると、そこには「ただし、この奈留島には、ほかの鉱物は何一つないので、そのつもりで覚悟して行くことだ。」とありました。とんだ読み違いが33年ぶりに解決となりました
(奈留島の日本式双晶。石友からの貰いものなので採集ラベルは無し)
テルル石
歯医者に行くと掲示板に「金属が高騰しており、歯の詰め物も値上げとなるので、そのつもりで財布を用意して下さい。」との案内が貼ってありました。それを見て、いつもの清貧生活者の精神構造から「(四十九日の供物(果物)のカゴの時の様に)、自分で何とかならないか、ということが頭をよぎりました。しかし竹カゴと違って歯の詰め物は何ともしようがありません。その次に鉱物採集で集めた元素鉱物がいくつあるか、ということが気にかかりました。
採集の記憶がある元素鉱物をリストアップすると、次の5種類だけです。
\虱娶でも取れる金属銅(Cu)
∪虱娶では取れたことが無い金(Au)
2仍海里△觚で簡単に取れる硫黄(S)
い匹海任蘯茲譴修Δ丙重(Fe)
グ貌Σ歪店杙海悩僚犬靴振眤哀謄襯(Te) (静岡県の県の石)
この金属テルルは1995年、貴石探検隊の伊豆河津鉱山での採集会に参加し、それ以降年に数回河津鉱山跡に出かけ収集したものです。しかし目指していた鉱物は金属テルルでは無く、テルル石と呼ばれるテルル含有のレアな貴石鉱物で、石英の塊をデカいハンマーで割り、小さい空洞を見つけてはそこをルーペで黄色がかった橙色の透明鉱物を探しました。その過程で皮膜状の金属光沢の金属テルルが見つかりました。一方、数年に渡る採集で見つけたテルル石は写真の極極小さい黄色の石を含めて数個だけ。
歯医者の掲示物からテルル石探索の記憶辿りの一日となりました
(黄色の矢印の先の空洞にある小さい黄色の塊が多分テルル石。左の橙色のしみ状のものも多分テルル石。)
乙女鉱山の水晶
午前中に4回目のコロナワクチン接種を行い、午後は安静にして過ごそうと、久し振りに水晶が入っている箱を開けました。箱の中には白いティッシュにくるんだ透明な水晶が詰まっています。
この水晶は山梨県の乙女鉱山生まれ。これらは全て兄弟、同じ晶洞(地中にある空洞)で育ちました。乙女鉱山の水晶はとにかく透明度が高く、品があります。
この水晶兄弟は、乙女鉱山の鉱山口の左側の赤茶けた柔らかい岩の斜面で採れました。硬い岩盤中の晶洞の場合、綺麗な水晶が見つかっても、硬い岩から水晶を剥がす時に傷つけてしまうことが多く、柔らかい晶洞で採集出来たことが幸運でした。長さは大きいもので14cm程で特に大きいものではありませんが、尖った形と透明感のためか、水晶にスピリチュアルなものがあるとすると、その最高のものはこの乙女鉱山産の水晶と確信します。久し振りに乙女鉱山の水晶を愛で、副反応は今回、大したことにならないと思います。
尚、乙女鉱山には採集のたびに水晶の一部を土囊袋に入れて地中に埋めてきました。採れすぎて持ち帰れなかったものをいつか持ってこようと考え、埋めたものです。しかし安静が似合うようになった私が乙女鉱山に行く機会は残念ながら二度と無いと思います
ヤジリの黒曜石のあるべきところ
町田自宅で和田峠の黒曜石を断捨離していたとき、箱に一つ場違いな黒曜石を見つけました。それは黒曜石でも弥生人によってヤジリに加工された実家の町の畑で拾った黒曜石でした。このヤジリは私が小学生の低学年の時に早春の畑を歩き回っている時に見つけた記憶があります。がそのあとどんな流れで町田の和田峠の黒曜石の箱に入ったのか全く記憶がありません。考えられるのは母屋解体の際に出てきたヤジリをどこかに保存しようと考え、その結果同じ黒曜石ということで和田峠の黒曜石の箱に入れた、というストーリーです。
和田峠の黒曜石を断捨離して暫定ホームポジションを失ったヤジリの黒曜石は、その後、町田の農の会の共同圃場で見つけた石器が入ったミニ籠に、石器仲間ということで仮住まいしています。
60年近く前のヤジリを見つけた時と同じような天候の今日、その昔ヤジリを見つけた同じ畑に行ってヤジリ探しをしました。土器やヤジリ探しが大好きな小学生に戻って一生懸命探しましたが、ヤジリどころかヤジリ作りの残骸の黒曜石も見つかりませんでした。
仲間が見つけられなかったヤジリの黒曜石、当分は岩石の石器群の中に入れておくしか無さそうです
(町田共同圃場で見つけた縄文石器が入っている籠に居候中の実家の町の畑で半世紀前に拾ったヤジリの黒曜石)
甲武信(こぶし)鉱山の松茸水晶
年末年始を実家の町で過ごして一昨日自宅に戻ると年賀状の束が届いていました。会社時代の様な賀状のやり取りが出来る自信が無く、こちらからの発信は控えさせてもらって丸9年が経ち、それでも賀状を送ってくれる旧友がいます。ありがたいことです。その中に私の「石の時代」の後期に毎年鉱物採集に誘って頂いたNさんの賀状が有りました。今でもmineral watchingを続けているとのこと。なんとも懐かしく、羨ましく思います。
Nさんの採集会で採集した鉱物の中でi-Padに写真が撮ってあるものを探してみると一枚ありました。松茸水晶と呼ばれる変わり種の水晶で、長野県川上村の甲武信鉱山での採集品です。甲武信鉱山はこの松茸水晶の他に、尾根の反対側の川端下(かわはげ)で採集できる巨大水晶や緑水晶、日本式双晶、ミニツイン(小さい日本式双晶が含まれる水晶群晶)など様々な水晶が採集出来ました。
いつかもう一度鉱採集に行けると思い続けることにします。どこに行くか、一つ選ぶとすると信州和田峠、幅1メートル程の細い沢で木漏れ日を浴びながらの柘榴石採りですかね。
(坑道跡下に広がるズリをモグラが横に掘り進む様に小型の熊手で引っ掻いていると時々見つかった松茸水晶)
岐阜洞戸鉱山の透輝石
暫定新居マンションの生活品質向上プロジェクトの一つとしてリビングテーブルを自作する構想があり、そのデザインの一つとして天板の中央をガラスをはめて、その中に現在行き先の無い鉱物採集品を標本箱風に収める、いかにも鉱物収集家が考えそうな案があります。中に入れる鉱物は綺麗なとか、貴重なとか、収まりのいいサイズとかの基準では無く、綺麗でも無いけど採集時にエピソードのある鉱物をと考えています。
岐阜洞戸鉱山の透輝石もそんな候補の一つで、サイズは1センチ以下、見た目は緑色のガラス瓶のかけらのようで全くパッとしません。が、この採集品はこの鉱物ならではのちょっとしたエピソードがあります。
米国駐在から戻って5、6年が経ち、私は週末は殆ど鉱物採集に費やす「石の時代」に入っていた頃で、会社での仕事が変わり、年に何回か駐在時代の同じ事業所に出張するようになりました。出張先の近くに日本でも人気のあるハーキマーダイヤモンド(条線の無い非常に綺麗な水晶)の産地があり、出張時に空き時間ができると車を飛ばして採集に出掛け、その時に使うバールを駐在時の仕事仲間で鉱物に関心のある人の部屋に預かってもらっていました。そんな関係の友人に日本の鉱物で興味のあるものを尋ねると、今は採集出来ない市之川鉱山の輝安鉱、殆ど取れそうも無い乙女鉱山の日本式双晶、それに岐阜洞戸鉱山の透輝石の名前が上がりました。透輝石自体はそれ程珍しい鉱物ではありませんが、結晶が世界に類の無い数センチ台のサイズが産出することで日本の代表的な鉱物になっているということでした。そんな訳で、その友人への次回出張時のお土産として、採集出来る可能性がそこそこあると思えた岐阜県洞戸村の洞戸鉱山に透輝石探しに出掛けること数回、結局その友人に持って行けるような透輝石は採れませんでした。当時採集した1センチにも満たない小さい透輝石が残っています。これが4倍以上の大きさだったならこの鉱物は今はNY州Rochesterにあるはずです
奈良県天川村のレインボーガーネット
JUGEMテーマ:鉱石鉱物
コロナワクチン接種から4日目、熱はほぼ無くなりましたが、暫く食べていなかったので体に力が入りません。もう一日横になっていることにして、今日はタブレットに溜まっている鉱物写真のそれぞれについて採集当時を思い出して暇つぶししようと思います。
最初に選んだ鉱物は奈良県天川村の通称レインボーガーネットと呼ばれている灰鉄柘榴石。私は基本的に綺麗な貴石集めを目指して来た訳ですが、私の採集品の中で最も気に入っている山の尾の緑柱石(アクアマリン)や妙見山のリチア電気石(トルマリン)であっても、鉱物に関心の無い人に見せると「ガラス棒ですか」という反応で、私が期待するような驚きの反応は有りません。それに対してこのレインボーガーネットは複雑に重なった結晶体がいかにも自然物で有ることを表現する一方で、結晶表面はワインカラーで透明度の高いアクリルのようにキラキラしており、光の当て方によって虹色の光を放ちます。
2003年か4年か始まりの時期ははっきりしませんが、世界的にも超稀な鉱物のレインボーガーネットが日本の奈良県天川村で採集され、それも宝石級だという噂が流れました。鉱物山地情報は通常人伝てにしか入手出来ません。奈良県の現地周辺を歩き回り、産地情報を持っている人に巡り合って、信頼を得て産地を教えてもらうという地道なプロセスもあるのですが、奈良県天川村は東京からはあまりにも遠く、勝算の低い行動を移せずにいました。それが水晶峠での水晶採集で偶然にあった貴石探検隊の旧メンバーからこのレインボーガーネットの産地情報を得て、噂のレインボーガーネットの入手にたどり着きます。偶然の助けが大きかった鉱物採集でした
県の石(9) 湯河原沸石
一週間程前、会社同期生のMさんの湯河原散策のFBを拝見。真っ先に連想されたことが「湯河原沸石」という鉱物のことでした。この鉱物は世界で最初に湯河原で発見されたので湯河原沸石と命名され、日本の地名が名前になっている珍しい(希な)鉱物です。20年くらい前に採集した記憶があり、FB拝見以来、家の中での湯河原沸石探しを始め、ようやく玄関の靴箱の下にあったブリキのお菓子箱の中で見つけました。
湯河原沸石は神奈川県の県の石(鉱物)に選ばれていています。今日の発見で、保有鉱物の中で県の石が一つ増えたと思いきや、この湯河原沸石は土肥町(静岡県)産であることに気付きました。地理音痴の私としては湯河原も土肥も伊豆の方の同じような地域なので、「県の石(9)湯河原沸石」発見の一日ということでいいことにします
水晶峠の水晶(日本式双晶)
JUGEMテーマ:鉱石鉱物
実家に移動したものの先日の穴掘りのダメージか、肩の調子がすこぶる悪く、今日は以前撮った採集鉱物の写真を見て一日を過ごすことに。その中で「一日の跡」に選んだのは山梨県水晶峠の日本式双晶です。採集日は2004年。この時期は毎日朝9時5分出社、23時35分退社とサラリーマン真っ盛りだった筈で、よく甲府に行く暇があったなと思うのですが、多分鉱物採集の方を優先したのを都合よく忘れている、というのが本当のところでしょう。
山梨県側から金峰山に繋がる登山道の一つの側にある水晶峠の水晶は、稀に水晶の側面に小さい日本式双晶がくっついているものが見つかる場所として人気がありました。この写真の水晶はその典型で、Vサインのような小さい日本式双晶が付いています。ミニ双晶がきれいに写るように水晶の下敷きにしているのが、同じく水晶峠近くで採集したミニ紫水晶。ここの紫水晶は全体が紫のものは殆ど無く、一部分(この紫水晶は頭の部分)が薄紫色に染まっていました。
今はどちらも採集禁止と聞いています。いつかもう一度(散策目的で)行ってみたいところです
(水晶の表面に何箇所か小さい突起があって、その多くが日本式双晶。尻のところにもう一個付いている。)
岐阜県田口鉱山の薔薇輝石、パイロックスマンガン
JUGEMテーマ:鉱石鉱物
実家の庭で偶然蛋白石の球ころを拾ったことから、鉱物採集の思い出が詰まった標本箱を久し振りに開けてみる気になりました。
大抵のお気に入り品はアクリルのケースに入れて保存していますが例外の鉱物があり、薔薇輝石とパイロックスマンガンは光が当たらないように紙の箱に入れて保存しています。
四半世紀前、田口鉱山のパイロックスマンガンは私にとって羨望の対象の一つでした。パイロックスマンガンの採集方法はマンガン鉱の特徴ののっぺりした黒い石を見つけては片っ端からハンマーで叩き割るという荒っぽいもので、同じような採集者が近くにいると石の破片がバンバン飛んできて、非常に痛い思いをしながらの採集となりました。
すっかり表面が黒っぽくなってしまったパイロックスマンガンですが、僅かながら透明なピンク色の部分が残っています。痛い思いをしての代償として採集した鉱物でした
庭から出てきた宝坂の蛋白石
一昨日、実家の庭の草を鍬でさらっていたところ、ゴルフボールのようなものが鍬の刃に弾かれて転んで行きました。拾い上げてみるとゴルフボールに見えたものは新潟県境近くの福島県宝坂で採集した球ころ(ノジュール)ということが直ぐ分かりました。宝坂はオパールの産地で名を馳せたところです。この粘土のボールのような石はタガネで岩を掘って採集することが出来、この石をハンマーで割ると卵の白身のような石(蛋白石)が出てくるのですが、何百個に一個の割で遊色の蛋白石が出現し、それがオパールです。
約30年前、宝坂から採集してきた大量の球ころを自宅の庭に持ち込み、それを一つずつ2キロのハンマーで叩いて、遊色の蛋白石探しを行った日があった筈です。100個も割り続ければ腕はぱんぱんとなり、しかし出て来るのは白い蛋白石だけ。そんな時、一つの小さめの球ころがハンマーの当たりどころが悪く、表面は欠けて剥がれたものの、本体は手の届かないところに飛んでいってしまい、それを探して叩いてもまた白い蛋白石とほぼ想像がつき、探すこともせず。その石が30年の時間を経て現れた、ということなのでしょう。
この球ころ、オパールが入っているやもしれませんが、夢は将来に残して、このまま取っておくことにしました。
そして今日、久し振りに鉱物箱を開けて四半世紀前の私の「石の時代」を思い起こすことにします
(宝坂の蛋白石含有の球顆。表面は大仏の頭のようになっているが叩いたことでそこが剥がれている)
庭の草取りの最中に見つけた翡翠玉
実家の物置長屋前の庭の草取りをしていたところ、中央に貫通した穴が空いている楕円形の石が出てきました。全体的には灰色で一部に少し透きとおった緑色の部分があります。これ、かなりの可能性で翡翠(硬玉)です。何故庭に埋もれていたかさっぱり分かりませんが、一つの可能性は、この半年間の間で、台風被害を受けた母屋から処分のために搬出するものの中にこのヒスイ玉が入っていて、それが庭に落ちて埋もれていたということですが、私はこの玉を子供の時から一度も見たことがないので、どうも違うように思います。もう一つの可能性は江戸〜大正時代の頃にはこの翡翠玉はこの家にあって、その当時に紛失して、それ以来ずうっと庭に埋もれていたものを私が見つけた、という考えで、こちらの方がちょっとロマンがあるように思います。
ヒスイは糸魚川のヒスイ海岸や姫川に何度か採集に行きましたが、きれいな翡翠はついに見つけられませんでした。今回の翡翠玉の見っけ、一応鉱物採集ということにしましょう
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